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1999年4月に8社からなるカンパニー制を導入した株式会社東芝の中で最大規模を誇る府中事業所は、5カンパニーの工場を有し、電力・産業・公共・交通・昇降機システムやこれらシステムを構成するコンポーネント、回路部品まで、幅広い製品群をお客様に提供している。
77万平方メートルの広大な敷地の東芝府中事業所は活気に満ち溢れている。中央に、ひときわ高いエレベーター開発センターの試験塔が建つ。緑の芝生の中をまっすぐに伸びる広い道路を歩きながら、技術・情報システム部情報システム・ドキュメント企画管理担当参事 斎藤 一氏は「この工場は、今年(2000年)で設立から60年を迎えました。この事業所の長い歴史は、そのまま築き上げたシステムの重さとして表すことができます」と、話を始めた。そして、最初に案内してくれたのが、府中事業所のドキュメントを一括管理し、24時間、すべての技術者からの検索要求を受けつけるセンターサーバーのマシン室。そこに設置されたサーバーには、全部で3000万枚の内、すでに2000万枚の設計・製造・試験のための各種仕様書、外形図、展開接続図、ソフトウエア、試験成績書などのドキュメントが記憶され、利用者はWebブラウザーから活用することができるようになっている。
東芝府中事業所がめざしたものは単なる大規模なイメージングシステムではない。その答えを探るべく、これまでのドキュメント管理の歩みと現状、そして将来の構想を伺った。 |
図面のマイクロフォルム化から電子化へ |
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東芝府中事業所が図面の管理を始めたのは、事業所が設立された60年前に遡る。「そのころ当社の図面は、作成された各設計部ごとに管理されていましたが、図面管理のためのセンターが設立され、原図は一括管理されることになりました。ほどなくして、マイクロフィルムによる複製保管も始められました。採用されたマイクロフィルムの形態はアパーチュアカードと呼ばれる35mmフィルムをパンチカードに貼り付けたタイプのもので、1枚の図面が1枚のアパーチュアカードに撮影されました。これは、図面の保存を目的としたシステムであり、完全なオフライン検索のため、利用者はアパーチュアカードが保管されている場所で検索したり、ハードコピーを取らなくてはなりませんでした」(斎藤氏)その後、16mmロールフィルムを採用することで、ロボットがフィルムを自動装填し、該当のイメージをスキャンして、ネットワークに接続されたパソコンから検索できるようになった。そして、ドキュメントの電子化への要求が活発になり、過去に作成した3000万枚の図面や書類をドキュメントスキャナーを使って入力するという、大規模イメージングシステムの構築が始まった。 |
3000万枚の大量の書類をスキャニング |
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3000万枚という膨大な量の書類を高品質な画質で電子化するためには、高速で高画質なスキャナーの必要となる。採用された9台のコダックスキャナーIL500(現在のDS7550の先行モデル)は、A3版までの書類を400dpiでスキャニングでき、書類の状態に合わせた設定が、プリセットされたプログラムで、容易にできるようになっている。しかも搭載されている画像処理アルゴリズムのATP(Adaptive
Threshold Processing)は、書類の紙質や色、折り目やしわなどに合わせてしきい値を自動的にコントロールし、原図とほぼ同等の品質を確保できた。スキャンされたイメージはTIFF
G4形式で圧縮され、A3版の書類1枚は約100KBから約150KBの容量になる。(400dpi)。1000万枚でおおよそ1〜1.5TBのディスク容量を必要とし、センターサーバーに数TBの磁気ディスクと光ディスクを用意し、2重に保管する方法を取り入れた。開発を担当した技術・情報システム部 情報システム担当参事 長沼啓司氏に検索の仕組みを伺った。
「このシステムの利用者は1万人以上を想定しているため、センターサーバーだけでは検索のための負荷が大きくなることが予想されます。その負荷を回避するため、クライアントは各部門ごとに設置された部門サーバーを経由してセンターサーバーにアクセスするようにしました。また、利用者の仕掛かり中のドキュメントは部門サーバー上で保管し、完成後センターサーバーに移管する方法も採用しました。検索のキーは、図面番号や客先名、システム名、プラント名、機能名などで、Multi-TIFF形式のイメージをサムネールの小さな画面で確認してから大きく表示することができ、効率の良い検索が実現しました。」 |
電子イメージの全盛の時代を迎えて |
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97年からの約2年半という短期間で2000万枚を超える書類をスキャニングして電子化することができたが、このシステムを稼動させるまでに、いくつかの検討事項があった。たとえばファイルの保存形式に関して言えば、図面や文書類を作成するソフトウエア専用のファイル形式がある。そのファイル形式での保存は、将来変更を加えたり、2次利用する際に便利だが、バージョン管理が難しく、最悪の場合は見ることができなくなることも考えられる。そこで、東芝府中事業所では、今後長期間にわたり、安全で、しかも品質の良いファイル形式としてTIFF
G4圧縮を採用した。また、保存されている書類を選別して入力することも考えられた。しかし、保存基準の設定が難しく、電子化されていない書類に検索依頼があった場合、たちどころにシステムに対する期待感が薄れてしまうことが懸念された。特に府中事業所は重電やプラント制御システムなどの製品寿命の長い製品を多く取り扱っているため、ドキュメントの保管期間も長く、40年前の図面の検索要求があったりもする。「出荷した製品が1台でもお使いいただいている間は、関連のドキュメントをいつでも検索できるようにしておくことが信頼につながるんでしょうね」(斎藤氏)と、このシステムを担う役割は大きがわかる。 |
システム障害と災害対策に万全のシステムを目指して |
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このシステムによって管理されている書類は、東芝府中事業所にとって貴重な「資産」となっている。現在は磁気ディスクと光ディスクによって2重の管理をされているが、想定される災害のために全てのイメージデータをマイクロフィルムに出力し、バックアップデータとして事業所から数時間の距離の倉庫に保管する準備を始めた。フィルムに出力するためのコダックデジタルアーカイブライタ4800は、1分間に約240ページのスピードでTIFFイメージを高品質なマイクロフィルムにコンバードすることができる。マイクロフィルムは、ISOの規格にもあり、情報を目視できることから、現在得られる情報記録媒体の中で最も長期に渡って安心して保管できる記録媒体であると言える。また、このマイクロフィルムの先端と後端に、撮影証明を写し込み、東芝府中事業所独自の方法で証拠性をもたせている。さらに、このマイクロフィルムでバックアップされた情報はコダックインテリジェントマイクロイメージスキャナー(IMS)でTIFFのイメージに戻すことができる。「本当にここまで必要なのかと、今でも思う時があります。しかし、どうしても災害に対して万全な納得できるシステムを作りたかった。災害によって、今回のバックアップの成果が実る事があってはいけませんが、ここまでやったという過程を信頼の裏づけにしたいですね」と斎藤氏は結んだ。 |